NFTのロイヤリティとは、NFT売買成立時に収益の一部がNFTを発行したクリエイターに還元されるシステムです。
クリエイターが継続的に収益を得られることからも、NFTの注目すべき機能として注目されています。
本記事ではロイヤリティシステムについて、概要やメリット/デメリットを詳しく解説します。
OpenSeaを利用したロイヤリティの設定方法も解説するため、ぜひ参考にしてください。
NFTのロイヤリティとは?
NFTのロイヤリティとは、NFTの二次流通が発生したときに、その一部がNFTを作ったクリエイターに収益が還元される仕組みです。
たとえばロイヤリティを10%に設定して、1ETHの二次流通が成立した場合。そのNFTを作成したクリエイターには0.1ETHの収益が入ります。
ロイヤリティはスマートコントラクト(コードで仕組み化しておく)に実装されているものではなく、NFTマーケットプレイスごとにロイヤリティを設定できることが多いです。
ロイヤリティとは別に手数料がかかることも多い
ちなみに実際にNFTの二次流通が発生したときには、ロイヤリティだけではなく販売手数料も発生することが多いです。
販売手数料とは、そのマーケットプレイスを使うための利用料みたいなもの。世界で最も利用者数の多いOpenSeaでは、販売手数料として2.5%が自動で引かれます。
そのためOpenSeaを使った二次流通でロイヤリティを10%に設定した場合、1ETHの売買が成立したときには、クリエイターに0.1ETH、OpenSeaに0.025ETH分配されます。
NFTロイヤリティのメリット
NFTロイヤリティのメリットは2つあります。
- 継続的にクリエイターに収益が入る
- 初期価格を安く販売できる
1. 継続的にクリエイターに収益が入る
一般的なイラストや絵の販売の場合は、最初に売ったときの収益しか入りません。
しかしロイヤリティを設定したNFTの場合は、二次流通以降も安定した収益が入るようになっています。
継続的に収益が入ることで、クリエイターはクリエイティブ活動を継続的に行うことができます。
この点で、NFTのロイヤリティシステムはクリエイターを救うものとして注目されています。
2. 初期価格を安く販売できる
NFTコレクションの人気が上昇し、二次流通以降で高価格で取引が成立した場合、ロイヤリティ収益も比例して増加します。
たとえば世界で最も人気のNFT「BAYC」は、初期価格が0.08ETH(約1万円)、ロイヤリティを2.5%で設定して販売されました。
そして現在、直近1ヶ月の総取引量は10,308ETHのため、ロイヤリティ収益だけで1ヶ月に257ETH(約4,100万円)が入ります。
BAYCまでとはいかなくても、人気の出たNFTに関しては二次流通以降のロイヤリティで十分ビジネスが成立します。
日本のNFTでは、CNPがBAYCと同じように二次流通以降のロイヤリティ収益でビジネスを成立させています。
このように後々人気が出てロイヤリティ収益が発生することを考えて、初期販売は購入してもらうことを優先し、安く販売することも可能です。
NFTロイヤリティのデメリット
NFTロイヤリティに関して、NFTの二次販売する人にとってはデメリットが1つあります。
- 二次流通時に販売者の収益が減る
1. 二次流通時に販売者の収益が減る
ロイヤリティを設定した場合、二次販売者の利益が少なくなるのがデメリットです。
たとえばOpenSeaを利用して(販売手数料2.5%)、ロイヤリティが10%に設定されたNFTを1ETHで二次販売したとき、収益は0.875ETHになります。
このように実際の販売額よりも利益が少なくなってしまうのは、二次販売者にとってデメリットといえるでしょう。
ロイヤリティはクリエイターの持続的な活動に必要なシステムのため歓迎している人も多いですが、一部ではロイヤリティを0にすることを働きかける動きもあります。
【NFTマーケットプレイス別】ロイヤリティを解説
NFTのロイヤリティはマーケットプレイスごとに設定できます。そのため出品するマーケットごとにシステムが異なります。
本記事ではNFTマーケットのなかでも主要な販売所について、ロイヤリティシステムを解説します。
- OpenSea
- BLUR
- X2Y2
1. OpenSea
ロイヤリティ | 0~10% |
ロイヤリティ設定者 | クリエイター |
販売手数料 | 2.5% |
OpenSeaは世界で最も利用者の多いマーケットプレイスです。
日本人ユーザーの多くがOpenSeaを利用してNFTの売買を行なっています。
ロイヤリティはクリエイターがNFTを出品する際に、0~10%で設定することが可能です。
販売手数料が2.5%とほかのNFTマーケットプレイスよりもやや高くなっていますが、現状利用者が一番多く流動性が高いため、出品した際にも売れやすくなっています。
2. BLUR
ロイヤリティ | 0.5% |
ロイヤリティ設定者 | NFT出品者 |
販売手数料 | 0% |
BLURは2022年10月にローンチされたマーケットプレイスです。
販売手数料が0%ということもあり、販売者に利益が多く残ることから注目度の高いNFTマーケットプレイスになっています。
BLURはもともとロイヤリティを0%で設定できる仕様でしたが、クリエイターの収益が継続的に入らない観点から、一律0.5%に変更しました。
今後も段階的にロイヤリティ収益を上げていく予定です。
しかし、販売手数料が0%なことからも、利用者は増加するのではないかと予想されています。
3. X2Y2
ロイヤリティ | 0~10% |
ロイヤリティ設定者 | クリエイター |
販売手数料 | 0.5% |
X2Y2はNFTマーケットプレイスのなかでも上位に入るNFTマーケットプレイスです。
OpenSeaに類似した設計のため使いやすく、販売手数料も0.5%と低いため、徐々に人気が出ています。
X2Y2のロイヤリティはクリエイター側で0~10%で設定可能です。
OpenSeaでロイヤリティを設定する方法
本記事では一番利用者の多いOpenSeaを使ったロイヤリティの設定方法を紹介します。
OpenSeaのロイヤリティの設定は、「コレクション作成」から行います。
それぞれのNFT発行時ではなく、コレクション作成時に設定するため注意しましょう。
ロイヤリティの設定自体はすぐに完了します。下記ステップを参考にしてください。
なおOpenSeaの設定がまだ完了していない場合は、下記記事を参考にしてください。
1. OpenSeaでコレクション作成をする
OpenSeaの自分のアイコンから「マイコレクション」を選択します。
「コレクションを作成」をクリックして、コレクション作成ページへと移ります。
2. クリエイター手数料の項目を設定する
コレクションの作成ページについて、下にスクロールすると「クリエイター手数料」という項目が出てきます。
こちらがOpenSeaのロイヤリティ設定になります。
「住所を追加」をクリックしてください。
ロイヤリティを受け取りたいウォレットアドレスを登録します。
ロイヤリティについては、最大10%まで設定できます。日本の有名なNFTコレクションについては10%で設定されていることが多いため、特別な理由がなければ10%で良いでしょう。
そのほか必要な情報を入力して、コレクションを作成すれば設定完了です。
NFTのロイヤリティ制度は今後変更される可能性あり
本記事では、NFTのロイヤリティについて解説しました。
ロイヤリティ制度はクリエイターに利益が還元される画期的なシステムです。
しかしクリエイターにとっては歓迎されるシステムな一方で、二次販売者にとっては自身の利益が減ることから、ロイヤリティ制度に反対する声もあがっています。
それらの意見を鑑みて、二次流通でロイヤリティ制度をすり抜けられるマーケットプレイスも登場するほどです。
「ロイヤリティはクリエイターを守る仕組みのため重要だ」「ロイヤリティはNFTの販売の活性化を妨げるものだから必要ない」
両者の意見がぶつかり合い、OpenSeaやX2Y2、BLURなども複数回ロイヤリティ制度について見直しています。
今後もロイヤリティ制度については変更されることも考えられるため、それぞれのマーケットの動向を定期的にチェックすることをおすすめします。